新入社員の採用は、やりがいがあって、私は好きです。しかし、時には心がくじけそうなことも起こります。
今回は、採用あるあるの、エピソードや採用で気を付けたいポイントなどについてお話しします。
採用担当の方も、就活中の学生さんも、必見です。

内定辞退の連絡

なんといっても内定辞退が一番こたえます。
「何がいけなかったのかな」
「あんなに熱心に見えたのに」
「もっと早く言ってよー」
「うわ、まさか〇〇君が辞退なんて」
学生さんも、企業も、選ばれないというのは、存在価値の否定みたいな気持ちになりますよね。
自分が就活している時は、採用担当者の気持ちを慮る余裕なんてこれっぽっちもありませんでした。「自分がどう見られるか」しか考えてなかったです。
それが採用の立場になると、「私の苦労も少しはわかってよ~」などと甘ったれた言葉が出てきます。勝手なものですね。
私は採用の仕事が大変とか、内定辞退が相次いで気分が落ち込んだりする時には、自分の就活時代を思い出すようにしています。
不安と焦りと心細かった日々、慣れないスーツを着て家を出る時の、もはや悲壮感に近い感覚。
あの時を思い出せば、今こうして働いていることが有難いと思えるし、学生さんに優しくなれるのです。
録音してもいいですか?

合同説明会のブースで、説明を聞きに来た学生さんが
「録音させていただいてもいいですか?」と、丁寧な口調で聞いてきました。
私は、突然の事だったので「はい、構いません」と言いそうになったのですが、
上司が「申し訳ございません。録音やビデオ撮影についてはご遠慮いただいております。」とサラッと断ってくれました。
後から考えたら、冷や汗ものです。
このご時世、どう使われるかわかりません。台詞のキリトリなども・・。そこまで考えなくてもいいのかも知れませんが、用心用心です。
スマホで簡単に録画・録音・加工・掲載できるので、ちょっと怖いですね。
SNSで拡散、この心配が神経をすり減らす

スマホと言えば、SNSの存在は、採用担当として神経を使います。
お寿司屋さんでお醤油なめなめ動画もありました。
企業はイメージを大切にしているので、SNSでマイナスイメージが拡散されると困るのです。
採用担当の私たちも、SNSで「あの会社は酷い」なんていう悪口を拡散されてはいけないので、学生さんと接する時の言動や態度には、かなり気を付けています。
言動や態度に気を付けるのは当然なのですが、その背景にSNSの拡散があると思うと、なんだかとても神経が擦り減る気分になるのです。
採用面接で学生さんからの質問にあたふた

これも合同説明会での出来事です。
10人くらいの学生さんが集まってくれていて、一通り説明を終えた後、
「何か質問はありますか?」と聞くと、
学生さんの一人から「御社の離職率と主な離職理由を教えてください」
というものすごい直球の質問がきて、私は一瞬たじろいでしまいました。
だって、他の学生さんも大勢いる前ですよ、そんなネガティブな質問をしなくてもいいじゃないですか。と、グラグラしていたら、これも上司が笑顔でサラっと答えてくれました。
それ以降、学生さんから何を聞かれてもしっかり答えられるように、ひととおりの質問と回答例を作ってみました。
同じ事でも、言い方ひとつで受け取る印象が変わる。回答例を自分の言葉で作ってみると、よくわかります。
自作回答例集、採用担当の方にはお勧めです。すでにマニュアルとして回答例がある会社でも、自分の言葉で作ってみると、面白いです。
面接に現れない

「あちゃ~、寝坊した」
「今から行っても遅刻になる→面接に遅刻する人間なんて採用しない→すでに不合格→終わった」
こんな心理があるのでしょうか。何も連絡せずに面接に現れない学生さんがいます。
あるいは、他の会社から内定が出たから、必要なくなった。というケースもあります。
いずれにせよ、
連絡がないと、心配します。
それに、複数の人間が時間をあけて待っているのです。
「面接に行かなかった。連絡もしなかった」というのは、心の中で小さなシミみたいな気持ちになります。仮に寝坊した場合でも、失敗は誰にでもある。連絡する勇気があれば笑って生きられる。私はそう思います。
配属先からクレーム

「使える新人をよこしてよ」
「今年の新人は不作だったなあ」
こんな声を聞くと、なんとも言えない気分になります。
逆もあるんですけどね。
「今年の新人は元気がいいな」
「今年は積極的な新人さんが多いね。いい人をとってくれたね」
採用担当の力で新入社員の善し悪しが決まるとなると、責任重大です。配属先からは「良い新人さんをありがとう」と言われたいものです。
入社するとまるで別人

採用担当から見た彼女は、確かに輝いていたんです。
清潔感があって、笑顔が素敵で、服装も態度も申し分がなかったのです。
ところが、いざ入社するとあの輝きはどこに行ってしまったの?というくらいに人が変わってしまう人がいます。たいてい遅刻の常習犯になっています。
採用した私たちに人を見る目がなかったのか、あるいは配属先の問題か。けれど配属先の部長さん、とってもいい人なんですよね。
こういうことも時々あります。
退職代行業者から連絡

これ、私としては、とても寂しい感覚になります。
付き合っている彼氏からLINEで一方的に別れを告げられた気分です。
(そんな経験はありませんけど)
いままでは、退職代行を使われる会社って、ブラック企業だと思っていました。あるいは、上司がしつこくてなかなか辞めさせてくれないとか、そういう時に必要になるのかと。
ところが、あるんです。年々増えています。うちの会社はハラスメントにはものすごく注意しているし、残業時間も気を付けています。
退職代行業者を使って辞める人は、もしかすると、上司が苦手だったのかも知れません。イヤな思いをしたことがあるのかも知れません。
それでも、やはり辞める時には、自分の口から言って欲しいのです。
だって、採用担当の私たち、配属先の上司、先輩、同僚、お客様、ビルの管理人さん、たくさんの人たちと関わってきたのです。すっごく心配している人だって、いるかも知れません。だから、せめて辞める時は、退職代行業者は使わないで欲しいな。というのが、私の希望です。
1年経って何人残っているかをバロメーターに

採用担当として、私にはひとつの基準があります。
採用した新入社員が1年経って何人残っているかを、バロメーターにしています。
これは、お勧めです。見る目が変わります。視点が定まってくるのです。
1年後の結果に注意するようになると、〇〇さんは辞めちゃった。〇〇さんは頑張ってる。と見ていくと、ひとつのタイプが見えてくるのです。
新卒採用って、とにかく優秀な人材を一人でもたくさんとりたいと思いがちです。けれど、1年経ってみると、ただただ優秀さだけで採用に至った学生さんは、早期離脱が多いのです。
採用の時に大切にしたい視点は、うちの会社に合った人。ということに気が付いたのです。
そんなのわかっていますよね。でも、ここからが大切なところです。
それじゃあ、うちの会社に合った人ってどういう人?これ、言語化できないのですが、1年後に残る新人さんに意識を向けるようにしてみたから、肌感覚でよりわかるようになったのです。
もちろん、最終面接、最終選考は、上司や経営トップが行います。しかし、私の初期選考の部分でも、「うちの会社に合った人」という視点で見ることができるようになったことは大きいと、ひそかに自画自賛しています。
間口が変われば結果も変わってくる。と思いながら、ご縁の糸を紡いでいるのでした。
採用担当の仕事

採用担当の仕事って、多岐にわたります。実際にやってみて、文章力とスピーチ力が求められるのは、意外でした。大勢の学生さんを前にして、会社の説明をする時は緊張します。そういう時は、事前に練習するようにしています。
採用担当のお仕事(会社によって違います)
・会社の求める人材像の言語化(経営層や現場の意見が重要)
・採用計画と予算
・採用広告、採用媒体の選定
・採用媒体に掲載する文章の作成
・各部署との連携、ヒアリング
・インターンシップの企画、受け入れ手配
・高校、大学へのアプローチ
・ES(エントリーシート)の見直し
・ESによる一次スクリーニング
・会社説明会の企画・運営
・面接の調整・実施サポート
・学生さんとのやり取り(説明会案内、出欠の確認、面談日時、質問対応.etc)
・内定者フォローイベントの準備と運営
・内定から入社までの手続き対応(総務と連携)
・入社式の準備と運営(総務と連携)
こうして書き出してみると、うんざりするほどありますね。
もしこれをイチからひとりでやるとしたら大変ですが、一人ではありませんし、それに前年からの改善点や変更箇所で済むものもたくさんあります。
むしろ、ルーティンにならないように気をつけています。
意識していることは、トップへの報告をおろそかにしないこと。
他部署との連携を密にすることです。コミュニケーションが大切です。