Z世代の新入社員研修、これだけは外したくないテーマ3選

Z世代の下剋上的ジェネレーションギャップ
会社でジェネレーションギャップを感じることはありませんか。
最近は社内でも、その場面に出くわすことが多くなったように思います。
たとえば、こんな出来事です。
- ミーティング中にスマホを取り出した新入社員を注意したら、「メモを取っているだけです」と返された
- 遅刻の連絡がLINEで届く
- 対面で「あの案件はどうなっているか教えて」と聞いたら、メールで回答が返ってきた
- 注意した翌日から会社に来なくなってしまった
直接伝えにくいことをLINEやメールで済ませるケースが目立ちます。
本音を言えば「会社ではスマホは使わないでほしい」と思いますが、簡単に注意できないのが現状です。
なぜなら、「パワハラと思われたら困る」という意識が頭をよぎるからです。新入社員が反発しているわけではなくて、むしろ世間の風潮に、勝手に私がビビっているのです。
私はこの現象をひそかに「下剋上的ジェネレーションギャップ」と呼んでいます。
従来のジェネレーションギャップは、上司や先輩が「近頃の若者はしょうがないなあ」と嘆くものでした。ところがZ世代の新入社員では、「古い価値観では話にならないね」と、一蹴されてしまいます。
社会全体がZ世代の価値観を作り上げていることが、彼らの正当性を後押ししているようです。日本人が得意とする同調圧力も相まって、「ちゃんと仕事をしようよ」と当り前のことを伝えることさえためらわれる状況です。
これは、ある意味で異常事態です。永続的ではないと思いますが、現場では深刻な問題を引き起こしています。
ワークライフバランスが叫ばれる中で、真摯な姿勢で仕事をすることの賢さ
「会社に搾取されてたまるか!」みたいな風潮の中でも、真剣な姿勢で仕事に取り組む新入社員ももちろん、たくさんいます。朝早く来る、メモを取る、質問する。時代に流されないで本質を見抜く力があるなと、感心します。
ワークライフバランス重視の時代だからこそ、一生懸命に働く姿勢は目立ちます。評価されます。社会的風潮がどうであれ、会社では仕事に対して真摯な姿勢が認められるのは当然のことです。
逆に「プライベートを大切にするので定時で帰ります」と堂々と口にする新入社員もいます。上司は笑顔で「定時までに仕上げてくれれば問題ないよ」と答えますが、心の中では「今どきの新人は…」と思っているのも事実です。
結局、会社という組織で評価されるのは、時代を問わず「一生懸命に取り組む人間」です。これは職場に限らず、趣味のサークルでも同じことでしょう。信頼は、真剣に向き合う姿勢に集まります。
「注意できない上司」と「希薄なコミュニケーション」
「ワークライフバランス」や「働き方改革」といった風潮は、新入社員にとって、負荷の少ない居心地の良い時代と言えるのかも知れませんが、その一方で、彼らのやりがいを奪い、成長を妨げていることを考えると、残念な気持ちになります。
さらに深刻なのは、上司や先輩が「パワハラ」や「SNSへの書き込み」を恐れて、部下を注意できなくなってしまったことです。その結果、職場のコミュニケーションが希薄になりつつあるという現状です。
私たちの会社ではこれまで「ハラスメント意識強化研修」に力を入れてきました。しかしその副作用として、「注意できない上司」と「淡白な人間関係」が職場に広がってしまいました。
Z世代の新入社員研修、これだけは外したくないテーマ3選
新入社員時代は人生の中でも特に、仕事にひたむきに取り組める時期です。この時期を逃すと、学ぶ機会を失いかねないくらいに、実は大切な時期なのです。
しかし、Z世代の概念には「ワークライフバランス」「働き方改革」さらには「パワハラ過剰意識」が、彼らのやる気を阻害する潜在的要因となっています。
また、本来は上司が教えてくれることも、注意されないという状況も見られるようになりました。例えば、遅刻をしても注意されない。パワハラにならないようにです。
これらを打開するひとつの対策としては、新入社員研修に託す!です。
そこで、うちの会社では、新入社員研修を少し厳しめに外部の研修会社にお願いしています。厳しめと言っても、威圧的だったりというわけではありませんけどね。いい塩梅で厳しめです。
もはやジェネレーションギャップは、新入社員研修の力を借りて、解消していかなければならないところまで来ています。
だからこそ、新入社員研修の内容には、これまで以上にこだわりたいところなのです。
それでは、研修担当の私が、ねりにねった「Z世代に欠かせない新入社員研修テーマ3選」をご紹介します。
1.上司が注意できる土壌を作る
新入社員研修で、上司が注意をする時の気持ちを考えてもらうようにしています。「どうして注意するのか」「その時の上司の気持ちは」というところを考えることができれば「注意→パワハラ」という構図にならないで済みます。
2.人間関係の大切さを伝える
それと、新入社員研修で力を入れるのは、人間関係についてです。ワークライフバランスの観念からすると、「職場に深入りしない」という考えがどうしても強くなります。事実、最近の新入社員は「会社での人間関係の構築」を避ける傾向にあることはよく言われています。
ですから、新入社員研修では、社内での人間関係の大切さについて、しっかりと伝えていきます。ロボットが仕事をしているわけではないと。
3.人生における仕事の価値を考える
さらに、新入社員研修で力を入れるのは、仕事に対する価値です。少なく見積もっても、一日の三分の一は職場にいます。その時間をただ切り売りするのはもったいないことです。仕事は自己実現の場であるということ。それは個人の自由ではあるが、自己実現の場とした方が成長に繋がり、キャリアアップにもなる。そして何より、人生が豊かになるということを、伝えてもらえるようにしています。
上記のことを、外部研修の講師にしっかりと伝えてもらうことが肝心です。
あくまでも、一般論としてです。そうすると、彼らは素直に受け入れることが出来るようです。
このポイントを入れるようにしたら、配属先の各部署から、今年の新人はいいよ!というお褒めの言葉をいただいて、私は研修担当として、飛び上がるほど嬉しかったのです。
新入社員にとっても、上司にとっても、少しでも仕事がしやすい土壌づくりのために、新入社員研修にかける!しばらくはこのテーマが続きそうです。